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2020-04-09
学部

新入学生のみなさんへ

福島哲夫 人間関係学部長

 新入学生の皆さん、ご入学おめでとうございます。

 今年は新型コロナウィルス関連で、通常とは全く違う4月になってしまいました。早くても5月までは皆さんと直接お会いすることができませんが、皆さんを歓迎する気持ちは例年にも増しています。そして同時に皆さんがさぞかし不安に揺り動かされ、所属感を持てないままにいるだろうことを心から案じています。

 皆さんの中には、9年前、小学生として東日本大震災とそれに続く計画停電などで、似たような緊急事態を経験した方も多いでしょう。今回はあの時よりもさらに先が見えにくく、世界中が危機に陥っているという意味では、より深刻な事態とも言えます。

 そして、大学としても本来とても晴れがましくかつ輝かしいはずの皆さんの新たな出発を、このような不安に満ちたものにしてしまって大変申し訳ありません。大学の授業開始は遅れますが、必ずそれを補う質の高い教育と研究、そして学内外の学びの機会を提供するために教職員一同全力を尽くすことをお約束いたします。

 9年前の東日本大震災関連の緊急事態の際には、「人と人との絆」の大切さが再認識されました。けれども、今回は‘social distance’(社会的距離)が大切にされています。しかしながらこのsocial distanceはあくまでも「物理的距離」を空けましょうという意味です。私たちはこの物理的距離はある程度空けながらも、「心のつながり」は緊密に、常につながり続けたいと願っています。

 人間関係学部の教育・研究の目標は「共生社会の実現」です。詳しくは、このホームページの別ページ「学部長ごあいさつ」をご覧いただきたいのですが、この「共生社会の実現」のキーワードは「違いを越えてつながる」ということです。この春、私たちに求められているのは、この「違いを越えてつながる」だけでなく「空間的距離を越えてつながる」ということでもあります。

 私自身が専門とする心理学においては、「人の心は物理的・空間的環境と強く相互に影響しあっているが、それらを越えた独自の機能や働きももっている」という前提があります。それは例えば、すでに失った大切な人との関係が今日の自分自身に、時とともに変化する大きな影響を与えていたり、過去の傷つきをもたらした出来事が、事実としては何も変わっていないのに、何らかのきっかけや取り組みでポジティブな意味をもたらしたりなどの事象があげられます。

 この機会に、物理的な距離を越えて心理的につながることの意味を、新入学生の皆さんもぜひ考えながら、この数週間を過ごしましょう。そして、一日も早く、皆さんと直接お会いできる日を楽しみにしています。

2020年4月9日
人間関係学部長 福島哲夫

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