学部長ごあいさつ

人間関係学部長 齊藤 豊

人間関係学部長の齊藤豊です。

 4年前には誰もが予想しなかったコロナ禍に翻弄された数年間を経て、いよいよアフター・コロナの時代が始まろうとしています。コロナ禍前の日常に戻るのではなく、新たな日常(ニューノーマル)です。

 コロナ禍による鬱屈した生活への反発からか、日本社会では若者によるSNSの炎上事件が後を絶ちません。チェーン店のビジネスを妨害する行為は多額の賠償責任を負います。18歳で成人したみなさんは、自らの行為の責任を問われることになります。みなさんは、何かをする前に自らの行為が社会的に認められたものであるか否かを考えなくてはなりません。大妻女子大学の校訓は「恥を知れ」です。他人に対して発する言葉ではなく、自分を戒める言葉で、自らの行為を振り返り、その行為が正しいのか、それとも、自分自身を貶めているのかを判断するために使います。

 現代社会は、複雑化し、めまぐるしく変化しています。家庭や職場や地域のあり方、人と人との関係、生活を送る上でさまざまな課題がある人々への支援のあり方など、人間関係に関わる多種多様な問題が山積しています。かたや、テクノロジーの進化に伴い、AIを搭載した機械と人が競争する時代が始まりました。ChatGPTなどのAIは現時点では本当のような嘘もつきます。これからの時代は、本物と偽物を見分ける知性がより求められます。現代社会で生きているみなさんは、これらの問題への対応を避けて通ることができません。AIには真似できない人の感情と倫理観を身につけ、常に自らに「恥を知れ」と問いかけ、恥ずかしい行為を行わず、正しい行いをするように心がけましょう。

 人間関係学部では、このような社会的な問題を解決し、テクノロジーを活かして、人々が互いの違いを尊重し合い助け合う「共生社会」の実現を目指して、人間関係や社会についての洞察力を身につけ、人々の幸福や福祉についての理解を深め、柔軟な想像力・すぐれた問題解決能力・実践力を備えた心豊かな人材の育成を目標としています。この目標を達成するために、人を思いやる「心」と社会に役立つ「知識」を身に付けた「実践力」のある女性になるためのカリキュラムが各学科・専攻に用意されています。各学科・専攻の根底には「共生」の思想が流れており、人々がみんな一緒に幸福に生きていくにはどうしたらよいかを深く考え、実践するための方法を学ぶことができます。

 人間関係学部の学びは、たったひとつの答えを求めるものではありません。教員が常に正解を示してくれる訳でもありません。社会問題は様々な前提条件を持ち、時、場所、立場などの違いにより、たくさんの解決策が生まれます。その中から最善の答えを選び、みなさんが選んだその答えが最善の解決策である証明を自分自身で行わなくてはいけません。そして、そのことを他者に理解させるコミュニケーション力が必要になります。

 みなさんは、ゆったりとした多摩キャンパスの中で学び、考え、ときには休み、試行錯誤を繰り返しながらより良い答えを導き出して、問題の解決策を教員やクラスメートなどの他者とのコミュニケーションで伝えることで人間関係力を養ってください。人間関係学部を卒業するには、家庭、職場、地域社会、国際社会等において、人々と幸福に共生し、問題を解決していく能力と自己決定力と人々と共生するための幅広い知識と教養、多様性を受け入れる価値観を身につけて、社会学、社会・臨床心理学、社会福祉学のそれぞれの学問を基盤にした専門的な知識と技術を習得することが求められます。

 さぁ、一緒に歩んでいきましょう。

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