社会・臨床心理学専攻 Major in Social and Clinical Psychology

FAQ

Q:心理学とは?
A:皆さんは心理学というとどんなことを思いうかべますか? 例えば、よく話題にのぼる血液型性格学は、学問的には否定されています。 現代の大多数の心理学者は、心理学を"行動の科学"と定義しています。 詳しく知りたい人は、続きを読んでね!!結構、専門的に説明しています。

皆さん、心理学というと、手相占い血液型性格学心理テスト犯罪者の心理カウンセリングなどを思い浮かべる人が多いようです。これらは、テレビや週刊誌、その他の大衆雑誌で取り上げられることの多い話題です。血液型性。格学は日常的な会話でよく使われ、信じている人もいるようですが、学問的には否定されています。テレビの番組で人気の心理テストの多くは興味本位で遊びの部類に入るものです。犯罪者の心理やカウンセリングは確かに心理学に入っていますが、それは心理学の一部にすぎません。これらの情報は間違っていたり、偏ったものといわざるを得ません。

さて、心理学は英語でpsychologyといいますが、語源的にはギリシャ語のpsyche(心)とlogos(学問)の組合わさったもので、"心の学問"という意味でした。ギリシャの昔から、人間とその心理についての関心は強く、様々な考え方が出されてきましたが、それらの多くは哲学的なものでした。現代の心理学につながる心理学の誕生は19世紀後半とされています。その後も、人間の心理についての研究がどうあるべきかについて、多くの論争を積み重ねてきました。その結果、現代の大多数の心理学者は心理学を"行動の科学"と定義しています。

すなはち、科学的方法によって、行動を手がかりにして、その行動が、どのような条件のもとで起こるのかについての法則をあきらかにし、その法則を説明する理論をつくりあげます。その結果、行動を予測し、ひいては行動の制御を可能にすることを目指しています。

ここで簡単に行動と書きましたが、狭い意味の行動だけでなく、客観的・観察可能なものとしての意識的経験の報告も含めて扱います。

ちょっと、難しくなりました。具体的な例をあげてみましょう。

アメリカで、深夜若い女性が暴漢に襲われ、結局最後は殺されてしまうという事件がありました。この時、近くの多くの住民がその様子を目撃していたにもかかわらず、30分間、誰も助けに行かず、警察への連絡もしなかったということが分かり、ショッキングなニュースとして伝えられ大きな反響を呼びました。
そのことから、傍観者の数を変え援助行動の生起がどう変わるかについて、いろいろな場面での実験をおこなって調べました。その結果、「傍観者(知らない人どうし)の数が増えるほど、援助が起こる確率は下がる」ということが確認されました(法則性)。

つぎに、どうしてそうなるのか知りたくなりますね。

周囲に多くの人がいると、自分が助けなくても誰か他の人が助けるだろうと考えやすくなりますね。すなはち、"責任の分散"が起こるからではないかと考えられます。このことが確認されると、「多くの人がいたのに、誰も助けなかった」のではなく、「多くの人がいたから、責任分散が起こり結局だれも助けなかった」のだと自信をもって説明することができます。そして、知らない人どうしが集まっている都会などでは、似たようなことが起こるだろうと予測するでしょうし、責任の分散が起きにくいような工夫をすることによって、悲劇を少なくすることができるでしょう(制御)。

人間の行動は非常に複雑です。したがって、法則、予測といっても自然科学の精度には及びません。例外もあります。こういう条件の時には「こういう行動をしがちだ」という表現の方が近いかもしれません。それも主観的印象によらず、客観的事実に基づく論理的な推論によって結論を導くのです。この際、統計学は有用な道具となります。

心理学の扱う現象の範囲は広いので、数量でなく、定性的データを扱うため、あまり統計を使わない研究もありますが、できるだけ客観的に現象をとらえ、論理的な推論をおこなうという科学的態度は同じです。

心理学の分野について、列挙してみましょう。知覚心理学、比較心理学、生理心理学、発達心理学、学習心理学、社会心理学、個人差心理学、臨床心理学、教育心理学、産業心理学、犯罪心理学などがよく使われる分類です。これらははっきりと区別できるものではなく内容的にはお互いに関連していることも多いのです。そして次々と活発な研究が行われ、新しい分野も出現しています。

さて、皆さんが描いていた、心理学のイメージと少しずれていたかもしれませんね。難しく、つまらないような感じがしたかもしれません。

しかし、そんなことはありません。料理にたとえると、おいしい料理を作れるようになるには包丁の使い方、食材の選び方、調理の仕方、盛りつけ方などの基本の習得が必要ですね。そして、おいしい料理が出来たら感動しますね。

心理学の勉強をし、研究をするのもそれに似ているところがあります。たとえば、"恋愛"というと胸ときめきますが、研究の対象としての"恋愛"の謎を科学的に料理し新しい事実を発見をするのはやはり感動ものではないでしょうか。

学生の皆さんが興味を持った卒論のテーマを一部ご紹介します。

人形・ぬいぐるみを捨てることへの抵抗感とモノへの愛着、比喩的アニミズムとの関連
ファン心理とファン対象に対する認知的不協和がファン継続意思に及ぼす影響
青年期女子の心理的自立に関する研究
詳しくは、社会・臨床心理学専攻の卒業論文題目一覧を見てください。
Q:心理学を学ぶとどんないいことがあるの?
A:時々誤解されることとして「心理学を勉強すると人の心がすぐに読めたりあやつれたりするようになれるんですか」というものがあります。これは全くの誤解です。それは経済学を学んだ人が、すぐに大金持ちになれたりはしないということを考えればわかります。人の心も世の中の物とお金の流れも、数年学んだだけで完全に理解できたり、あやつれたりということはありえません。

また、資格の面から言うと、残念ながら大学で4年間心理学を学んだだけでは、とくにこれといった資格は得られません。臨床心理学の代表的な資格である臨床心理士の資格は大学院修士課程(博士前期課程という呼び名のところもありますが、実際は同じです)の2年間のコースを修了して初めて受験資格が得られるというものです。ただし、学部を卒業しただけでも産業カウンセラー初級の受験資格は得られます。

その他、図書館司書の資格は、それらのコースを付け加えて学ばないと取れません。唯一この大学の社会・臨床心理学専攻を学んだだけで得られる児童福祉司児童指導員の二つの資格は、任用資格というもので将来その職業につくと初めて発生するという資格のため、その仕事につかなければ資格とはみなされません。
Q:「任用資格」とは、どのような資格ですか?
公務員として地方公共団体の行政機関(福祉事務所・保健所など)の専門職員になる際に必要となる資格です。資格取得には所定の科目の履修が必要です。なお、任用資格は卒業証書や成績証明書で確認できるもので、特別な試験や資格証書の発行などはありません。

注:この説明は、大妻学院ホームページ入試情報・資格に関するQ&Aより引用しました。

このように資格という点からは心理学を4年間学んでも得られるものはごくわずかですが、もっとより本質的な「人間の中身」という点では、おおいに得るものがあります。たとえば社会心理学やその他の基礎心理学を通して身につく科学的なものの考え方、人間という生き物の複雑な行動や思考について、科学的に考えたり説明・発表したりする能力や視点がそうです。また臨床心理学を学ぶことによって「自分について深く考え、理解する」という能力や、これまでよくわからなかった心の不健康な状態にある人についてよくわかるようになったリ、他者に対する共感能力リーダーシップが身につくということもあります。

では、このような能力が身につくと、どのようないいことがあるのでしょう。
まず、科学的なものの考え方は将来どのような職業につく場合にでも必要なことです。また、さらにそのようにして考えたことを人に説明したり、発表したりする能力は職業に限らず、社会生活にはどうしても必要なことです。また、「自分について深く考え、理解する」という能力や心の不健康状態への理解、他者への共感能力やリーダーシップは、人生全般にわたって非常に重要な能力となります。例をあげれば、将来の職業選択、友人や恋人、配偶者といかにうまくやっていくか、さらにはよりよい子育てや介護などにも必要なこととなってきます。

以上のような基本的能力をみがいて、地方公務員や国家公務員の心理職についたり、さらには大学院に進学して心理学の研究者や、臨床心理士などの高度専門職業人となったりする場合には、心理学の知識と経験がそのまま職業にも直結することは言うまでもありません。しかし、上記のような基本的能力は、人間として心豊かな暮らしを送っていく上での必須条件として、どのような生活をする上でもとても大切なことだと言えるでしょう。
Q:心理学を学ぶことと密接に関係する教科は?
A: 「心理学を学ぶための道具として必要な教科」と「心理学を楽しくそして深く理解するために必要な教科」に分けられるでしょう。

国語、数学、英語は、心理学を学ぶための道具として必要です。心理学では、人の行動についての疑問を解決するために、(1)実験や調査によってデータを集め、それを分析して疑問に対する回答を得て、(2)さらにその回答を文章にまとめて報告します。
たとえば「テレビの暴力映像を見ることによって、人は攻撃的になるのか」という疑問を解決することを考えてみましょう。社会心理学ではこのような場合、実験や調査を行ってデータを得、それを統計的に分析することで、疑問を解決しようとします。そして、その結果をレポートの形でまとめ、多くの人に伝えます。これらの作業で必要となるのが、国語と数学です。

まず、(1)の段階では数学が必要になります。つまり、実験や調査の結果得た数値データを統計的に分析する際に、数学が必要となるのです。ただし、ここで言う「数学」とは「計算の能力」ではなく、「数学的な考え方」です。実際の計算はコンピュータがやるので、計算や数式が苦手でも大丈夫でしょう。大学に入ってから「基礎統計学」の授業をとって勉強して下さい。余力があれば、高校の時に「確率」や「統計」を勉強しておくと役に立ちます。

国語は(2)の段階で必要となります。つまり簡潔でわかりやすい日本語の文章を書く力が必要となるのです。自分の考えや主張を、その考えや主張の根拠となる事実とともに自分自身の言葉でまとめ、人に伝える訓練をしておきたいものです。もちろん、漢字の読み書きには間違いがないようにしておきたいものです。

では、英語はどこで必要になるのでしょうか。現在、心理学の本場はアメリカです。心理学の多くの研究が、英語の本や専門誌で発表されています。つまり、心理学における新しい発見を知るために英語の文章を読む力が必要となるのです。

心理学を楽しく、深く理解するためには、生物学の知識もあった方がよいでしょう。それは、人のこころはからだの状態と切り離して考えることはできないからです。たとえば、ストレスを経験するとある種のホルモンが分泌されたり、感情や記憶について脳内の物質が関係していることがわかっています。
また、人は文化や時代の影響を受けながら生活しています。ですから人のこころを理解するためには、文化や時代背景について知っておくことも役に立つでしょう。地歴・公民なども興味をもったら、積極的に勉強するとよいでしょう。
Q:心理学は、文系?理系?
A:皆さんは大学進学で学部を選ぶ時、「自分は文系か理系か」と考える人が多いでしょう。
一般に、国語や英語、地歴などが好きな人は文系、数学、物理などが好きな人は理系と考えますね。

心理学はこころを扱うので文系のような気もするし、統計や数学が必要であると聞くので理系の気もする、さて心理学はどちらだろうと疑問が湧く人が多いでしょう。
正解は、文系、理系で心理学を見るのは余りにも単純すぎて分けられない、です。

文系・理系の分類は、人の興味や知能・知的能力、性格などを簡便に2タイプに分け、確かに進路選択に役立つ面もあります。しかし進路選択はもっと複雑な心理的な過程です。

例えば職業心理学者のホヴランドは職業興味を6タイプに分け、しかもそれらの組み合わせで適性を考えようとします。さらに彼はそれらが能力や性格をも反映していることを明らかにしました。彼の分析では、心理学者には研究的興味社会的興味芸術的興味が必要とされると言います。社会的興味とは人間に接することへの関心です。つまり心理学は理系であるとともに文系でもあるのです。因みにカウンセラーには組織運営や企画への関心を示す企業的興味も必要とされます。

さて皆さんはどのようなタイプでしょうか。もっと深く知りたい方はオープン・キャンパス(社会・臨床心理学専攻の体験授業)でお尋ね下さい。
Q:心理学は科学なの?
A:皆さんは、心理学と聞くと何を思い浮かべますか?

人の性格は、血液型や星座によって違うとか、ちょっとした出来事や絵などをどう見るかによって、その人特有のものの考え方や性格がわかるとか、そういうことを勉強するのが心理学だと考えていませんか。しかもそのように言われていることが自分にも当てはまったりしていると、もうこれは絶対に正しいと思いがちでしょう。

しかし、よく考えてみてください。もしある血液型の人は必ずその性格なのだとしたら、世の中の人は少なくとも4つの性格のどれかに必ず当てはまることになるし、同じ血液型の人は皆同じ性格ということになってしまいます。現実にはそんなことはないことは、皆さん自身がよくわかっていることでしょう。このように一般的に言われている本当らしい事柄と心理学はどこがどのように異なるのでしょうか。

私たちが一般的に知っている心の状態についての説明は、いわゆる「常識」だと思われることだったり、誰か有名な人がいっているのだから正しいと思わされている場合だったり、自分の個人的な経験や類推から正しいのではないかと勝手に思いこんでいる場合だったり、何となくつじつまがあう説明だったりします。これらは一見したところ事実のように思われますが、必ずしもそうとは言えません。

その説明がどのような人に当てはまるのか、いつどのような場合に当てはまるのかが問題になります。時や場合を越えて一貫した傾向があるかどうかは、きちんと調べてみなくてはなりません。心理学では客観的にデータを取って、このようなことを実証的に検討していきます。そしてどういうときならどういう人に対してどのように説明できるかを調べていくことによって行動の法則を探っていきます。この点が明らかになれば、単なる常識や思いこみではなく、科学的に確かめられた事実としてその説明を利用することができるようになります。

例えば、自分と同じ意見の人がいないと、自分の意見に対して不安を感じたり、相手の意見に合わせたりするけれども、自分と同じ意見の人が一人でもいると不安を感じる程度も相手に合わせる程度も低くなるという実験結果があります。自分の意見と一致する人の割合によって相手に同調する程度が異なるという関係が科学的に確かめられているならば、人の同調行動を予測したり、同調しないように、または同調するように事態を作ることが可能になります。

このように科学的事実によって、行動説明し、予測し、コントロールすることが可能になります。また実際の場面や実験によってこの関係が成立するかどうかたくさんのデータを取っていくと、さらに詳細な説を組み立てていくことができます。このようにして心理学では「人の心」という現象を科学的に研究して、行動の法則を明らかにしていくのです。

この点で、心理学は科学であると言うことができます。しかし光や力などを対象とする物理学の現象とは異なり、人の行動は一筋縄では説明できないのも事実です。この点で、心理学は科学的な方法を用いて、人間の心という現象を明らかにしていこうする学問だといえるでしょう。科学的な方法を用いて客観的な事実を集め、統計的にデータを処理して行動の法則を明らかにしていくのが心理学の目的です。
Q:心理学の実験って?
A:科学的な心理学では、「実証科学」とよばれる立場をとっています。難しそうなことばですが、実証科学を、「実」際に、「証」明する、「科学」というように、分解するとこのことばの意味が見えてきませんか?つまり、理論や法則を、データでもって証明することです。

そのためには、データを集める必要があります。

証明するためのデータを集める方法には、大きく3つの方法があります。1つめは、ただその対象を見るだけの「観察」です。2つめは、その対象に質問をして、その反応を観察する「調査」、そして3つめは、そのことが起こる状況そのものを人工的に作り出し、その反応を観察する「実験」です。

例えば、「人はたくさんの人の前では、あがってしまって日ごろの実力が出せない」ということがあります。これを科学的に証明するためのデータを集めることを考えてみましょう。まず、「観察」では、このような状況を日常的な場面から選び出し、その状況をただ単に見ることからデータを集めます。たとえば、ピアノの発表会に行き、どれだけ間違いがあるかということを観察し、演奏者の間違いの数をデータとします。2つ目の「調査」では、直接、「あなたは、ピアノの発表会で日ごろの実力が出せないことがありますか?」などと質問をして、その答えをデータとして集めます。3つ目の「実験」では、たくさんの人の前でピアノを弾かせる条件を人工的に作り出し、間違いの数をデータとして集めます。

一般に、観察よりも調査、調査よりも実験の方が、データを集める手順がきちんと決まっているため、研究者が望むデータだけを少ない労力と時間で集めることが可能になるといわれています。しかし、観察よりも調査、調査よりも実験の方が、対象となる状況は人工的になるため、観察では自然な状況からデータが集められますが、実験では不自然な状況からデータを集めることになります。

このように、3つの方法には、それぞれ長所と短所があります(表1)。実際には、これら3つの方法を注意深く組み合わせることにより、それぞれの短所をカバーすることがおこなわれています。
表1:データを集める3つの方法(観察、調査、実験)の長所と短所
  長所 短所
観察 自然な状況からデータを集めることができる 複雑な情報から必要なデータだけを集めることが困難 時間と労力が必要
調査 効率よくデータを集めることができる 調査に答える人の意図がデータに影響を与える
実験 手順が決まっているので必要なデータが集めやすい 原因と結果(因果関係)を明らかにできる 人工的で不自然な状況からのデータを集めることとなる
ここまで読んで、「こんな難しそうなことできるかな?」と心配になってしまいましたか?心配することはありません。大学では、この3つの方法を、実験、調査、観察の順に実習をします。データを集める側からすると、より人工的なデータの集め方である「実験」は、手順がきちんと決まっているので、初心者であっても比較的簡単にデータを集めることが可能なのです。そして、実験をおこない、データを分析することから、科学である心理学を理解し、調査、観察へと進んで行きます。

心理学における実験を理解することは、科学である心理学を理解することの第一歩なのです。
Q:社会心理学と臨床心理学はどうちがうの?
A:どちらも心理学ですので、人間の心や行動の問題を考えることには変わりがありません。しかし、臨床心理学と社会心理学とには次の様な違いがあります。

まず第一には、人間の心や行動を扱う時に、扱う内容に違いがあります。まず、臨床心理学では、心が不健康な状態に陥った人の心や行動を扱います。例えば、登校拒否をしている生徒の心や行動を扱い、学校に行ける状態にするまで援助することを、臨床心理学では行ないます。一方、社会心理学では、普通の健康な社会生活をおくっている人々の心の状態や行動を扱います。例えば、一般の人々がTVの影響をどのように受けているのか。また、人は個人としては決して人殺しなどしないと思っていても、なぜ軍隊に入ると人を殺りくする恐ろしい人間に変身するのだろうか。人を嫌ったり好きになったりします、人が嫌いになったり好きになったりするには人と人との関係に何か特別なことがあるようです、その特別なことはなんだろうかといったことを扱います。

第二には、人間の心や行動を扱う扱い方に違いがあります。扱い方を方法といいます。臨床心理学では、悩みを持った人の心を理解しなくてはなりません。悩める人の気持ちを理解し、そこからなぜそういった悩みを持つにいたったのか理解し解釈して、原因を発見し、問題を起こさせている原因を取り除かなくてはなりません。すなわち、人の心を理解するという方法を、臨床心理学はまず大切にします。

社会心理学では、一般の人のある心の状態になったり、ある行動が起きるのは、なにが原因になっているのか、その原因と結果の関係を科学的方法で分析します。そして、このことが起これば、必ず人はこういう心の状態になったり、こうした行動を必ず起こすという関係(これを法則といいます)を発見します。すなわち、人の心や行動を科学的に分析する方法を、社会心理学では大切にします。
そのために、臨床心理学では、心理検査による人間理解を学んだり、カウンセリングの方法による人間理解を学びます。
一方で、社会心理学では、どういう条件がどのような行動を起こさせているのか、その原因と結果をつきとめるための方法として、実験法を学びます。またその実験で得られたデータの解析をするために統計学を使いますので、統計法やコンピュータの扱い方の勉強をします。

臨床心理学では、人の気持ちを敏感に共感性を持って理解する訓練を行ない、社会心理学では、人間の行動の起こり具合を客観的に把握していく知的な訓練を行ないます。それだからこそ、大妻女子大学の社会・臨床心理学専攻で学ぶことにより、人間的に人の気持ちに深く共感でき、さらに人間の心を深く洞察でき、その上、人間行動を客観的に、科学的に分析し、論理的にものが考えられる人に育つことが出来るのだと思います。
Q:社会心理学と社会学とはどうちがうの?
A:社会学も社会心理学もそれぞれ社会科学の一分野ですが、研究の方法や仕方はかなり異なります。一言でいいますと、社会学は社会での人との結びつき・関係を研究する学問ですが、社会心理学は社会生活をしている人間のこころを研究する学問です。

社会学は、人間生活のあり方、つまり社会の構造や制度や変動を人との関係から研究していく学問です。具体的には、家族や地域や都市などの組織や制度の中での人間関係、文化、産業・労働、企業社会、社会調査、メディア、ジェンダー、医療・宗教、環境、国民、世界などなどを研究していくことです。人のいるところ関わるところすべてに社会学ありともいえます。社会学を学べば、複雑で変化に富んだ現代社会を的確に捉えることへのヒントを得ることができるでしょう。

社会心理学は、社会的な事象や関係を主として、人に注目し、そこでのこころの法則性を確立しようとする学問です。つまり、社会的状況における個人、個人と個人、個人と集団、集団と集団、これらにおける人のこころの法則を考えます。社会心理学を学べば、様々な現象や事象における人の心理的な側面を理解し(決して、人の心を読みとるという「読心術」ではありません)、そこから解決への方策を立て、実践することへのヒントを得ることができるでしょう。

社会学と社会心理学との違いを「家族」に例を取りますと、社会学は家族の役割や機能などに研究の重点があります。社会心理学では、家族の間での心理的影響過程に研究の重点があります。
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